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リコールにまみれた悲しい技術 ホンダハイブリッド i-DCDについて

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あかべこ

フィットのリコールすごかったですよねえ

7回て!

ぼんじり

というわけで今回は

ホンダのi-DCDついて

実際にあったトラブルを一緒にご紹介します。

 

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i-DCDとはなんぞ?

i-DCDとは正式名称をSport Hybrid Intelligent Dual Clutch Drive(i-DCD)といいます。

 

i-DCD概略図

 

引用:デュアルクラッチの利点を最大限に活かし、軽量・コンパクトな構造でモーターを内蔵した7速DCT

 

ホンダが開発したデュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)をベースに、奇数軸にモーターを組み込んだハイブリッドシステムのことで

 

・今までのハイブリッドにはないDCTのダイレクトな走行フィーリング

・モーターを使うことによって

   DCTの弱点であるクラッチの消耗や低速時でのギクシャクを低減

・DCTを介したエンジンとモーターのダイレクト感ある力強い加速を実現

・おまけに燃費までいい

 

などの特徴があります。

当時IMAしかハイブリッドシステムを持たなかったホンダが新開発した技術の1つです。

→ メーカーサイト

 

フィットのリコール なんと7回!

ぼんじり

さてさて

そんなi-DCDにも問題がありました

それが有名な(?)フィットリコール7連発!

 

フィットリコール7連発の歴史

1回目 2013年10月24日

動力伝達装置(自動変速機制御コンピューター)の不具合 → 発進できなくなる

 

2回目 2013年12月20日

動力伝達装置(自動変速機制御コンピューター)の不具合 → エンスト、発進や後退ができなくなる

 

3回目 2014年2月10日

動力伝達装置(エンジン制御ユニット)の不具合 → 意図しない急発

 

4回目 2014年7月10日

原動機(エンジン制御コンピューター)の不具合 → 意図しない加速、急発進

 

5回目 2014年10月23日

原動機(点火コイル)および電気装置(電源供給回路)の不具合 → エンジンが停止

 

6回目 2015年11月26日

原動機(点火コイル)の不具合 → エンジンが停止

 

7回目 2016年4月4日

電気装置(昇降圧充放電コンバーター)の不具合 最悪の場合火災に至る

かじ取り装置(電動パワーステアリング制御コンピューター) → 急にハンドルの操作力が増大

 

ぼんじり

半端ないですね

ユーザーが気の毒で仕方がありません

 

 

リコールの原因

ぼんじり

ほとんどのリコールの原因はDCTの制御プログラムにあると言えます。

 

DCTはオートマチック・トランスミッションの中では特に制御が複雑なことで有名です。

DCTはマニュアル・トランスミッション(MT)のオートマ化といった機構になっており、MT好きな方にも好まれるような走行フィーリングになっています。

しかし、MTの醍醐味と言えば運転者が自由に変速ギアを選べることにあります

その点でDCTはどうあがいてもMTを求める方の欲求を完全に満たすことはできません。

 

今回の不具合はできるだけMTに近づけるという意向とできるだけ燃費を高めるという相反する意向がうまく噛み合わず、どちらもうまくいかなかった結果だと私は感じました。

 

実際にあったトラブル

ぼんじり

ということで実際にあったトラブルを元に

構造的な原因とホンダの内情的な原因について

私の考えを語らせていただこうと思います

 

カラカラ音(異音)がする

走行中のカラカラ音は

 

・走行負荷とギアが合っていない

・エンジンとデュアルマスフライホイール(DMFW)の共振

・ピストンスラップの発生

・タペットの発生

 

この中のいずれかだと考えられます。

異音発生時のシチュエーションによってさらに厳密に原因を特定できます。

しかし「走行負荷とギアが合っていない」以外は老朽化や基本設計の欠陥、よってユーザーによって対処しきれるものではないので

ここでは「走行負荷とギアが合っていない」の原因について説明します。

 

 

・走行負荷とギアが合っていない

まずシチュエーションは走行中、特に中低速域で走行している時にカラカラと異音が発生する場合はこれが原因の可能性が高いです。

 

ユーザーにできる対処方法としてはアクセルの踏み具合でギアチェンジをうまくコントロールするしかありません。

走行負荷に対して高いギアが入れられているのでアクセルを踏み増してキックダウンさせるか、アクセルをオフにして速度を下げてギアを落とさせるかしか対処方法はありません。

なんのためのATなのかといった声が聞こえますが、あまりにもひどいようならディーラーへ声を届けてメーカーへ改良を求めるしかありません。

 

ぼんじり

これだけではなんとも収まりが悪いので

原理的な解説をしますね。

 

自動車は速度に応じてギアを切り替えることでエンジンへの負荷を軽減しています。

例えばギア比の大きいギア(ローギア)はエンジンへの負荷を小さくできるため、走行不可の大きい発進時や低速走行時に適しています。

逆説的に速度が高い状態はエンジンへの負荷が小さくなるので、ギア比を小さくできます(ハイギア)。

 

 

イメージ図です↓

走行負荷と速度の関係

 

簡単に言うと

速度の低いときには負荷が大きく

速度が高いほど負荷が小さくなります。

 

負荷が高いときに無理に高いギアで走行するとエンジンがダメージを受けてしまいます。

このときにカラカラとした音(ノッキング)が発生するのです。

 

「走行負荷とギアが合っていない」というのは

負荷と速度に応じてギアを合わせるときに負荷・速度・ギアといったパラメータのどれかを図り違えたときに起こります。

MT車の場合は運転手の操作に誤りがあったと結論付けられるのですが、今回はクルマがギアを選んでくれるAT車です。

エンジンの回転数を抑えることは低燃費を実現するためには重要な方法なのですが、

燃費を追い求めるがゆえ、製品の耐久性やユーザビリティを大きく損なうとなれば大きな問題です。

 

充電が満タンなのにEV走行できない

これは主に長い下り坂を下り終えた後に

 

ぼんじり

バッテリーが満タンやんけ!EV走行するで!

 

と意気込みEV走行しようとすると

バッテリーが満タンなのにエンジンがかかったままでEV走行ができないといったことが起こるそうです。

 

これはバッテリーモーターの加熱が原因だと考えられます。

最近のハイブリッドカーに用いられているリチウムバッテリーは放電と充電を繰り返すと熱が発生します。モーターもまた繰り返し使用すると加熱されます。

 

熱にさらされるとバッテリーは劣化し、モーターは出力が低下します。そのためメーカーではそれを防ぐために冷却機構を設けています。が、冷却が間に合わない場合はこれ以上熱が発生しないよう充放電を停止します。つまりはEV走行ができなくなるわけです。

 

これを回避するためには減速は回生ブレーキではなく、エンジンブレーキや物理的なブレーキを使用すること。もしも発生した場合には自動車の持つ冷却性能にまかせるだけですね。

 

ぼんじり

実はこれ、i-DCDの構造的にしょうがない

どうしても起こりやすくなってしまう現象なんです。

 

i-DCDは奇数軸にモーターを組み込んだ構造をしている1モーター式のハイブリッドシステムです。

そのためモーターによる回生(充電)と走行アシスト(放電)は同時には行えないので、状況に応じてモーターの使いみちを切り替えなくてはなりません。

 

制御はとても複雑で同じシチュエーションでも異なるいくつかの制御パターンが生じます。

 

例えば巡航時には

1.エンジンの余剰エネルギーで充電を行う

2.エンジンを止めてEV走行する

3.モーターアシストをしてエンジン回転数を抑える

等の複数の選択が迫られます。

 

充電か放電か、どちらにしても運転中はモーターとバッテリーが休まるときはありません。

そのため今回のようにバッテリーとモーターの冷却が追いつかなくなりやすいのです。

もちろん電気系の使用頻度や出力を抑えることでメーカーで対処できることですが、燃費を考えた際にはそんなことはできないでしょうね。

 

i-DCDはユーザビリティと燃費のトレードオフ

あかべこ

問題が起こる前にメーカーは対処ができなかったのか

と気になりますね

 

ここまで言っておいてなんですが私はi-DCDがめっちゃ好きなんですよ。

だからそれゆえに「なぜここまで不具合が出るのか」「メーカーはなにをやっているのだろうか」とも考えます。

技術的、構造的な問題以外になにが問題だったのか考えた結果、すべてを解決する方法に気が付きました。

 

ぼんじり

燃費重視の制御をやめること

 

考えてみましょう。

今までの挙げた問題はただ走ることにのみ注力すれば起こらないことばかりです。

 

なにも燃費を重視してユーザビリティを損なうようなことをわざわざすることはなく、

シフトアップする際はエンジンの回転数と速度を十分に上げてから行えば良いわけですし、モーターとバッテリーを酷使しないためにもエンジンを用いる時間を長く取っても良いわけです。当たり前中の当たり前の考えですが、これとトレードオフになるのが燃費です。

そもそもホンダがここまで燃費にこだわる理由は何でしょうか?

 

ぼんじり

フィットでアクアの燃費を超えるという目標

 

フィットは発売当初、販売台数トップであったカローラの台数を抜き年間販売台数トップとなりました(参考リンク)。そんなホンダの再建を担った素晴らしいクルマなのですが、トヨタアクアの出現によりその立場が奪われることとなり、ホンダとしてはなんとかして奪い返さなくてはならない状況になったわけです。

どうやらアクア超えは業務命令だったらしいですね→参考リンク

 

i-DCDは1モーター、トヨタのTHSは2モーターといった構造的な制約、その上トヨタの特許をかいくぐってアクア超えを果たさなくてはならないその難しさは筆舌に尽くしがたいものです。

 

さらに物事を困難にしているのがDCTの立ち位置と燃費の両立

正直、i-DCDは走りの良さと燃費をウリにできるほど両者を両立できていません

 

前述の通りDCTはMTのAT化版

昨今の電子制御は従来の人力でのシフトチェンジよりはるかに早く、レースに用いられるほどになりましたが、アマチュアの走り好きにはいまだにMTを求める声が多くあります。

自由にギアを選べない、機構だけがMTのDCTが走り屋の目には魅力的にうつるでしょうか?

 

燃費が良ければいい

お財布に優しければいい

と考えるライトユーザーがDCTの魅力や走りの良さを求めるでしょうか?

その実、リコールが出るほどの欠陥設計をユーザーは寛容できるでしょうか?

 

i-DCDが走りと燃費の良さをアピールするほどそれは滑稽にうつることこの上ありません。

i-MMDの記事でも書きましたが技術そのものが素晴らしいものであっても売れなきゃ意味がないのが会社経営なんです。

燃費至上主義も結構ですが、商品として成り立つようなものを作った上で達成してもらいたいですね。

 

まとめ

i-DCDについて

・リコールの原因は燃費を求めすぎたから

・構造的にも制御的にも弱点がある

・ユーザビリティと燃費はトレードオフ

・走りとユーザビリティの両立は出来ていない

 

ぼんじり

マイナスのことばかりになってしまったので、次はi-DCDのすごさについての記事を書きます

 

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